【F P 相 談 室】

アメリカでは、生涯持ちたい3人の友人として、医者、弁護士、FP(ファイナンシャル・プランナー)と言われています。

医者は健康管理と病気に対して、弁護士は法治国家・訴訟の国なのでトラブル対策、そしてFPは資産運用、税金、不動産、保険、年金、相続、ライフプラン等。この3人の友人がいれば生きていく上で、安心して生活できるという事です。

日本人は、お金の話は人前でするな、株はギャンブルだから手を出すな、よく分からないが老後が心配でしょうがない、などとよく言われます。それは他人が言っている話で、自分自身が正確な知識を持てば、何が正しいかを理解することができます。

そこで、セミナーでよくでる質問について、できるだけ分かり易く解説したいと思います。

ぜひ、このページを通じて正しい知識を得てファイナンシャル・プランに関心を持っていただければ幸いに存じます。皆様のお役に立ちたいと思っています。

岡本は企業に属さない独立系FPで、また金融商品(保険・株式・債券・投資信託等)の販売もしておりませんので、公平に解説したいと思います。

※恐れ入りますが、ご相談頂いてもセミナーが中心のため、個別の対応はしておりませんので、ご容赦ください。


長期×分散×積立で資産運用

前回資産運用の必要性で、4つの資産の過去25年の騰落率を説明しました。今回は、もっと具体的に説明します。

 

長期について

相場の格言に「木は庭に植えずに山に植えよ」があります。身近な庭に植えると、毎日眺めて、まだ大きくならないのかと気をもむばかりです。ところが、山に植えると、時折行ってみると、いつの間にか大きく育っていることに驚きます。日々の株価に一喜一憂し、高く買って、安く売ってしまうことにもなりかねません。

また、長期投資をすることで、得られたリターンを再投資し、さらに運用することで、リターンが増幅していく複利効果が得られます。この効果は、運用期間が長いほど、より大きくなることが期待されます。アインシュタインが「人類最大の発見」は「複利」だと言ったそうです。

72の法則:お金を運用する場合、お金が複利で2倍になる期間が大まかにわかる算式。

72÷金利=お金が2倍になる期間

例えば、「金利3%でお金を運用した場合、何年で2倍になるか」を知りたいとき、「72÷3=24」約24年で2倍になる。

 

分散について 

投資対象の分散 株式や債券のように値動きが異なる傾向にあるものに分けて投資をする。

投資対象地域の分散 国・地域・通貨など分散して投資する。

時間の分散 買う時期を分散することで、価格変動のリスクを抑え、損をしにくくなる。これは、積立で説明します。

前回の4つの資産で分散投資の重要性を説明しましたが、個人や初心者でも、簡単に複数の資産に分散投資を行うことができるものに、バランス型ファンド(投資信託)があります。少額(1万円以下)から始められますので、初めての方にも安心です。

投資信託とは、投資家(一般の皆さん)から集めたお金をもとに、運用の専門家(ファンドマネージャー)が株や債券などの複数の商品に投資・運用し、リターン(利益)がでれば投資家に分配するという金融商品。その中で、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券の4つの資産をバランスよく、たとえば25%ずつに投資する投資信託のことをバランス型ファンドといいます。

投資信託では、運用期間中に信託報酬というコストがかかり、これが大きいと長期運用成果に大きな影響を与えます。また、販売手数料も原則かかります。そのため、ファンド選びの際は注意してください。

 

 積立について

積立投資は、少額から始められ、まとまったお金を用意する必要はありません。

定額購入法(ドル・コスト平均法)は、毎月など定期的に定額で購入する方法で、商品の価格が安い時は数量を多く、価格が高い時は数量を少なく購入することになります。

ただし、相場が継続して上昇し続ける場合等、一括投資の方が有利な場合があります。

 

つみたてNISA、iDeCoについて

つみたてNISAやiDeCoは「長期×分散×積立」が出来るものです。

つみたてNISAは、信託報酬が低く、販売手数料も0円(ノーロード)の低コスト商品に限定。

iDeCo:確定拠出年金は、加入者である個人が自分で掛金の運用方法を考え、老後の資金づくりのための制度です。掛金の主な負担者に応じて、「個人型(iDeCo)」と「企業型(企業型DC)」の2つの制度があります。

つみたてNISAやiDeCoは、いずれも一定期間、運用益非課税、iDeCoは拠出金が全額所得控除などの税優遇が受けられます。

 

是非、これを機会に「貯蓄から投資へ」自分に合った金融商品を探してください。


資産運用の必要性

「貯蓄から投資へ」と言われていますが、資産運用の必要性についてお話ししたいと思います。

今、1000万円の現金を持っていたとします。利率0.1%の1年定期に預けたとしますと、1年後は税引き後8,000円の利息が受け取れます。しかし、日銀がインフレ率2%を目標に掲げて達成すると、今、1000万円の商品があったとしますと、1年後には1020万円になってしまいます。インフレによって、貯蓄で持っていた1000万円が、1年後には、192,000円価値が下がってしまった事になります。

そこで、このインフレリスクに対抗するために資産運用・投資が必要となるのです。

では、どのように投資をしたらよいでしょうか。ここで、代表的な4つの資産について見ていきたいと思います。

その前に、『債券』とは、国や地方公共団体、民間会社等が資金調達のために発行する「借用証書」のことを言います。債券を購入すると定期的に利息分の利子が入り、償還日になると額面金額を受け取ることができます。要するに、国や団体にお金を貸して、定期的に利子をもらい、借用期間満了になったら借金を返してもらうということです。

また、『株式』とは、株式会社が作られる時または資金が必要になった時、「株式を発行する」といいます。その会社に利益が出れば、その株式の保有数に応じて配当として、もうけの一部がもらえます。償還期間がないため、債券のように期間になれば額面金額を返してもらうことはできません。

国内債券・国内株式は日本国内の発行主体が国内で発行するもの。

外国債券は、払込や利金・償還金が外貨で行われる債券。

外国株式は、外国籍の企業が発行している株式。カントリーリスクや為替に影響される。

上の表をご覧ください。1990年から2014年の25年間の4つの資産の騰落率です。1990年バブル崩壊、2008年リーマンショック。この25年の間で、4つの資産が同時値下がりした年は1度もありません。逆に、4つの資産が同時値上がりした年は8回あります。このように4つの資産を分散して投資すれば、無難な運用成果が得られると言われています。この考え方が『分散投資』です。投資の格言に「1つのカゴにすべての卵を盛るな」、1つのカゴにすべて盛ってしまうと、落とした時すべて割れてしまう可能性がありますが、複数のカゴに分けておけば、1つは割れても残りのカゴがあるので全部割れてしまう危険性が低くなるということです。

 

また、下のグラフをご覧ください。

25年間4つの資産均等(各25%ずつ)に分散投資した場合、1989年度末を100とすると、2014年度末には約352に増えていることが分かります。

以上の事から、インフレリスクに対応するには資産運用がいかに必要か、また、分散投資有効性をお分かり頂けたと思います。


ライフプラン作成の必要性

これからの人生を考えるうえで、ライフプラン表を作成することはとても重要です。

よく「老後のお金が不安だ」という人に「何が不安ですか」と聞きますと、ほとんどの人は理由が分かりません。わからないから不安がどんどん大きくなってしまいます

大切なのは、現実を直視し、将来を予測し、行動することです。

そのために、ライフプラン表が重要となるのです。

 


上の2つの表は、同じ人

64歳まで働いて65歳からは年金生活のライフプラン表(上)

69歳まで働いて70歳からは年金生活のライフプラン表(下)

64歳まで働いた人は、預貯金が73歳で赤字となってしまいます。69歳まで働いた人は、100歳まで預貯金はプラスです。

これは、長く働いて資産が増えただけでなく年金の繰り下げ支給のため、65歳からもらえる年金額が70歳では1.42倍になるからです。老後を安心して暮らすには、支出を抑えて、より多くの収入を得ることが重要です。

このようにライフプラン表を作成することにより、どのような行動を取れば、どうなるかが予測でき、いろいろシュミレーションすることで、これからの戦略を立てることもできます。

その1つの方法が、受け取れる年金額を増やすということです。60歳前の人は、個人型確定拠出年金『iDeCo(イデコ)』で、積み立てて増やす自分年金等もあります。